はぴごサイト防衛戦

[オタク]2006年10月 6日

とうとう、会社の方々とメイドカフェへ行くことになってしまった。

しかし決戦の地は日本橋。地の利は我にある。
 舞台はメイドカフェ。日本橋のメイドカフェなら頭に叩き込んでいる。情報も抑えた。相手は、勝手知ったる会社のみんな。孫子の兵法にもあるではないか。「彼を知りて、己を知らば百戦して殆(あや)うからず」と。

大丈夫、大丈夫。サイトがバレることなんてない。
 勝利の女神は我にあり! いざ、出陣!


 一人だけ、オタク属性を持っている主催者(やーちんではない!)がいる。主催者を先頭にぞろぞろと男女数人が取り合わせて、日本橋を歩き始めた。

男性陣は、アニメやゲームの店頭をもの珍しそうに覗きながらきょろきょろ。道行くメイドさんを見ては鼻の下を伸ばす。主催者はさも嬉しそうに「ここが『オタロード』で、この店には……」などと説明を始めた。おいおい、そこまで良くさらけ出せるな。

対照的に、アキバ系の男たちが闊歩している風景を見て、いきなり意気消沈の女性陣。

「うわっ」

おいおいおいおい。
 その「うわっ」は、明らかに嫌悪の言葉。自分たちから参加すると言い出したので不満などは全く声に出していなかったが、人がドン引きになる様子をつぶさに見ることができた。

取り繕ったような笑顔が美しかったです。怖ぇぇぇぇ。

主催者が浮かれているうちに、なんとしても店を選ぶ主導権を取り、店の中に入らなければならない。とにかく、メイドさんに顔を知られていない所で、みんなが満足できそうな所へ連れて行く。
 さもなければサイトの命はない。
 
 私は先頭を行く主催者の横に並んで、言った。

「うわっ、ここが『萌えロード』って言うんやー」

わざとらしくなってはいけない。
 台詞によどみがあってはいけない。
 最初の「うわっ」は喜んで発言しなくてはいけない。

主催者の説明に頷きながら、「もしかしてあれ、メイドカフェ?」と、指差してみる。

皆の視線が指の示した先へと集中した。この一連の演技力、今なら大杉漣になれたかもしれない。
 全員でカフェの店名が書いている小さな黒板へと向かう。

今日の私の設定は「仕事柄パソコンに詳しいけど、萌えやオタクに無関心な仕事人」。頭の中で、常に「俺はオタクじゃない」、「俺はふつーのひと」と何度も何度も念仏のように唱えていた。



はぴごサイト防衛戦・後編

「やーちん。結構盛り上がってない?」
 「そりゃ、今日5時まで起きてたからね(実話です)。ナーチュラールハーイ」と、おどけて見せる。やはり大杉漣で行くのは無理があったか。

しかし、誰もさして気にしていない。私が指差した黒板の周りに人だかりができた。誰もが知っているようなRPGの呪文そのままのメニューなどが黒板に書かれている。

訪れた店の黒板

「ホイミ650円って! ドラクエ!」誰かが言った。
 「ドラクエなら650ゴールドやって!」また、誰かが答える。

皆がどっと笑う。主導権を取るなら今だ。今しかない。
 この時点で、「ドラクエ=ふつーのひとがするゲーム」という図式が確定。これなら口を開いても大丈夫。「もしかしたら、ベホイミとかベギラマとかもあるのかな。ちょっと見に行ってみない?」と、私は主催者の背中を押す。まかり間違っても、ここで本当にある呪文(商品名)を言ってはいけない。

この店では顔を確実に知られていない。なおかつ普通の人でも「オタクのメイドカフェ」に来たというネタができる。私も含めて、皆が喜んで帰れる展開になるはずだ。

渋る主催者を無理やり歩かせ、勢いのままずるずると店内に引き込んだ。普段見せない積極性は、「寝てないからハイテンション!」の一言でごまかした。

日本橋は私にとってはホーム。皆にとってはアウェイの地。当然、この街の真ん中で放置される訳にも行かないので、主催者と私、二人の勢いのままに誰もが恐る恐る店内に入ってゆくことになる。ドアを開けて鳴る鈴の音とともに、「お帰りなさいませー」とメイドの元気な声が店内に響き渡った。

メイドがいるか、興味津々な顔で店内を見渡す一同。
 知り合いがいないか、戦々恐々な顔で店内を見渡す私。

メイドは、いる。知った顔は、いない。
 勝った! この勝負、俺の勝ちだ! 見たか孫子の兵法の威力を!

人数も多いので、皆が分かれてテーブルに着いた。すぐにメイドが給仕に現れ、おしぼりを皆に配りながらやーちんの方を見るなり、言った。

「どこかでお会いしたことありましたっけ?」

知りません知りません。どこかでお会いしたこともありません。あるかもしれないけど。
 全員が私に注目する。その刺すような視線は何?

しかし、今日の私は違った。こんなこともあろうかと、その台詞対策を万が一のために訓練しておいた。事前に練習したとおり、一言に笑顔を添えて返せば良い。

「他人の空似でしょう」私は言った。
 「ホントにぃ?」メイドが答える代わりに外野から声が飛んできた。
 「メイドカフェ自体初めてなのに、顔を知っている訳ないでしょうがっ」
 もう、ここまで嘘を突き通すと返ってすがすがしいね。結局、それ以上の追求もなく、メイドが投げかけた疑惑はうやむやになった。

ここに、はぴごサイトの防衛戦は終結した。
 それ以降もサイトバレすることなく、守りきったのだ。その証拠に、メイドカフェ内でした話は明らかに浮いていた。仕事の話、最近できた店の話、恋愛と結婚の話、などなど。オタクな話やサイトを連想させるような話は、飛び出る隙間もなかった。

他のグループは季節柄、新作アニメの品評会をやっていると言うのに。はたまたメイドカフェについての話や、ゲーム最新作の感想を述べ合っているというのに。
 なに、世間から見て、浮いているのは後者なの?

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